徳島のシリコンバレー神山町がアツイ!(1)ーNPO法人グリーンバレーとの出会い
2013/02/11
徳島県の神山町という町をご存知でしょうか?おそらくほとんどの人は知らないですよね。
徳島県の山間にある人口6000人弱の小さな町で、自然も多く気持ちのいいところです。僕は隣の佐那河内村の出身で、神山町にはよく温泉に入りに行っていました。というか温泉以外の目的では行ったことがありません。ぶっちゃけ、山と川と温泉しかない田舎町、と思っていました。
・・・思っていたんですが!なんと今、この小さな神山町がシリコンバレーもビックリの起業家精神あふれる魅力的な町に変貌を遂げようとしているのです!ブログや新聞、テレビ番組でも話題になっているのを見て「あんな田舎町がそんなわけないやろw」と半信半疑だった僕は、退職後のニート期間を利用して見学させてもらうことにしました。
見学を終え、スライディング土下座したくなるほどのアツい取り組みに感動してしまったので今回はそのレポートを残しておこうと思います。
1.予習で明らかになった神山町のアツさ
神山町の取り組みについて何も知らなかったので、見学前にネットで予習しておきました。何やら将来の町作りに向けて活動している『NPO法人グリーンバレー』という組織が、イン神山というサイトで地域の情報を発信していたので、それを流し読みしてキャッチアップすることにしました。
記事を読んで初めて知ったのですが、実は徳島県は「ひかり県」と呼ばれるほど県内全域高速ブロードバンド網がはりめぐらせているらしいです!そのため神山町でも、理論値に近い速度で通信が可能な状態になっています。なんか婆ちゃん家でも光回線入ってる快適すぎワロタw と思ったのはこのためでした。
このインフラメリットと静かな山間の風景に魅力を感じて、2010年から2年間でサテライトオフィスが10社も入ったそうです。・・・アツイ。起業したてのスタートアップ企業が多いのですが、ビジネスだけでなくアーティストにも注目されていて、数多くのアーティストも神山町で作品をのこしているそうです。なんと、DocomoのCMで話題になった『森の木琴』の制作を行った菱川勢一さんも、神山町に事務所を移転させるとのこと。・・・まじで?
調べるほどに驚きの連続だったのですが、イン神山に記載してあったグリーンバレーウェイという行動指針は、僕の心に強烈に印象づけられました。
・ できない理由より、できる方法を!
・ とにかく始めろ!(Just Do It!)
・・・ん?これ町興しの取り組みだよね・・・?なんで起業家精神の固まりというかブレイクスルーの本質みたいなことを掲げてるの・・・?何これこわい・・・!
という感じで、何やらアツすぎる空気に、僕は予習の段階で若干チキっていたのでした。
2.理事長大南さんとの面会、60歳を超えて現役のアツさ
見学当日は、午前中に神山町農村環境改善センターでグリーンバレー理事長の大南さんと面会、その後サテライトオフィスの見学案内をしていただけるとのことでした。予習でチキっていた僕はかなり余裕を持って出発したので、案内してくれた婆ちゃんが老人センターと勘違いしていたというハプニングを経ても30分前にはつくことができました。
国道沿いの立て看板。この坂はかなり急で、車だと恐いので徒歩で歩いて登りました。
外観。1990年くらいに建てられたとのことですが、かなり綺麗な印象です。
まわりはこんな感じ。どうみても田舎です(ry
シンポジウムとかイベントも活発っぽいです。アツイ。
予習で見た通り、アートも盛んでアツいようです。
サテライトオフィス関連のポスター。なんか自治体が主導してると思えないくらいクリエイティブな出来だなあ。
センター内をぶらぶらしてると、グリーンバレー理事長の大南さんが現れました。
大南さんはネットの情報だけでもすごい人だということはわかるのですが、僕の婆ちゃん(76)が言っていた言葉がかなり的を射ていると思ったので引用します。
「大南さんな!あの人はやり手やね〜!私でも知っとるくらいやもん。あの人はな、何でもやる気があるんよ。人を引っ張って行く力もあるんよな。それにみんなついて行く気になるからすごいんよ。大将なんよな。」
1時間ちょっと話してみて、僕はまさにこの通りの印象を受けました。齢も60過ぎだと思うのですが、頭の回転もキレキレでその辺の若者よりよっぽどアグレッシブでした。気取らずジョークを飛ばしまくりで、いきなり訪ねて来た僕の質問にも丁寧に答えてくれました。また、途中色んな人が大南さんに挨拶をしに来てその度に気さくに世間話をする様子を見て、まさにこの人は大将という形容がぴったりだなあと感じたのでした。
話していて一番すごいなと感じたのは、既存の成功体験や概念には全くとらわれないところです。頭が柔らかくてポジティブなんですね。特に印象に残った言葉をいくつかピックアップして記載します。
- 「できない理由ばかり並べるとな、議論がつまらなくなるけんな!w」
- 「無理やり企業をサテライトオフィスに来させようとしてもうまくいかんわな。みんなそれで失敗しよる。企業に来てください言う、いわば下からお願いする姿勢よな?そのモデルでやろうとしたら、立場の差を埋めるためにお金が必要になる。神山は違う。お金をかけん解決を目指しとるんよ。」
- 「IT企業が急に来たら地元の人たちの反発があるんやないか言うのは、それは先入観やな。企業に来てください言うスタンスやったらそうなるかもしれん。けど神山は何もお願いしとらんのよ。勝手に来よるw そういうモデルを目指して、地元の我々自身が活動するんやから、反発なんてないのよ。」
- 「普通企業誘致って言うたら、東京のコンサルやなんかがやるやろ?そうするとな、一時成功してうまくいったとしてもそれきりで続かないんよ。うまくいったノウハウも電○やら博○堂やらにばっかり貯まっていきよるけんなw」
- 「僕らの目指してるモデルは、一見真似できるように見える。けど形だけ真似してもうまくいかんのよな。本質を理解せんと続かんのよ。」
- 「挫折と失敗の連続。何かが変わると思ってやってても何も変わらないことも多いわな。」
- 「皆どうなるか分からん中で色んなことする。その結果成果がでない事もいっぱいあったよ。けどな、続けてきてようやく結果が出たものもあるし、根気が大事ってのもあるわなw」
- 「サテライトオフィス検討してもらう時に、僕らがちょっとこの人は合わないなって感じたらもうお引き取り願うこともあるよ。誘致ではなくて自然に人が集まるモデルを目指してるから、あえて変に無理はせんのよ。」
- 「神山町に欲しいのは、イノベーターとアーリーアダプター。その後に来るマジョリティはいらんのよ。イノベーターに触れるとものすごい刺激を受けるんよな。」
- 「サテライトオフィスによって、東京育ちの人にも田舎ができる。これは新しいこと。」
- 「不便じゃないんですか?という不安はもう愚問やな。最近の若い人は特にそうやけど、不便という概念を超えた人が来るんよ。ほなけん、来る人にとって不便かというんは条件にならんわな。」
- 「長野や山梨なんかと違って、すぐに帰れないっちゅう地理的に不利に見えるところが逆にプラスになることもあるんよ。みんな覚悟が違うけんなw」
- 「シリコンバレーは多少意識しとるよ。グリーンバレーいう名前の通りな。けどITだけでなくもっと大きな枠やな。地元の農業や林業、アーティストとビジネスが交わることで、そこからブレイクスルーが起きると思う。」
- 「何かものを作りたいという人はたくさんおるけど、結局本質は人なんよ。人が集まれば自然とものはできてくる。」
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「どこかの町の真似をしても、形から入るとうまくいかんのよ。最終的には仕組みが大事。県で国際文化村を作ろう言う話が出て来た時に、外からやらされているとうまくいかんとわかってきた。自分たちが内から提案していかんと変わらんのよ。そのあたりから、未来を先に描いてそこに向けて逆算して考えていくみたいな考えにシフトしてきたな。1997年くらい。」
なんかもう話を聞きながら、ん?今ベンチャー企業の社長さんと話してるんだっけ?みたいな感覚に陥ってしまいました。前職の社長の言っていたことと重なる言葉も多々ありました。大南さん自身のマインドの根っこには、僕とは比べ物にならないくらいの経験の分厚さがあり、発せられる言葉ひとつひとつに重みが感じられました。大南さん自身はそんなふうに話していたつもりは全くないはずですが。
60歳を超えても、ここまでアツい精神を持って活動していることにかなり刺激を受けました。自分が60歳になった時にはどうなのかな・・・今から35年か・・・こんなアツくいられるのかな・・・さすがにジョジョももう終わっちゃってるだろうな、と色々考えさせられるいいきっかけとなりました。
自分は若いんだし、もっともっと挑戦していかなければいけないなあと身が引き締まる思いでしたね。
最後に記念写真。こうして見るととっても気さくで素晴らしい方です。
この後、いよいよサテライトオフィス見学に入ります。
狂ったように写真を撮りまくって来たので、それは次のエントリーで書くことにします。
『徳島のシリコンバレー神山町がアツイ!(2)ーシェアオフィス『神山コンプレックス』見学 』に続く。